Mダックスは乳がんが多い?しこりを見つけたら検査しよう
犬にも乳がんはあり、中高齢になった愛犬の胸やお腹に小さなしこりがあれば、乳腺(にゅうせん)のがんを心配しなければなりません。
日本では小型犬の飼育頭数が多いので、高齢になったMダックスやトイプードルに乳腺の腫瘍(しゅよう)がでることが多くあります。
乳がんという言葉は人間でもよく聞くワードですが、これは乳腺の悪性のものをさします。
犬の乳腺のしこりは、良性のものも多く、乳がんではなく良性腫瘍(りょうせいしゅよう)が半分以上を占めています。
ただし見た目ではわからないのでしっかりとした検査をすることが大切です。
この記事では、小型犬の乳腺腫瘍(しこり)について、簡単な言葉で説明していきます。
ミニチュアダックスは乳がんが多い?
高齢のミニチュアダックスには乳腺にしこりができることが多いです。
しかし、その半分以上は良性の腫瘍であるというデータが多いです。
つまりミニチュアダックスに乳がんが多いということはありません。
小型犬の全般で高齢になると乳腺にしこりができることは多いのです。
悪性と良性の違い
乳腺癌(にゅうせんがん)、悪性の乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)、良性の乳腺腫瘍と、耳慣れない漢字が並んでいて、一般的にはよく分かりにくいところです。
簡単に言ってしまうと、寿命を短くするような悪いものは「乳がん」「乳腺癌」「悪性の乳腺腫瘍」です。
癌(がん)は悪性のものに使うので、「良性の癌」というものはありません。
癌は他の臓器に転移して寿命を短くする細胞です。
逆に、「良性の」というキーワードがついていれば基本的に転移(てんい)しないために、寿命を短くするようなものではありません。
難しい分類はたくさんあるのですが、覚えてもらいたいのは以下の通りです。
◇悪いもの⇒転移するもの⇒癌、悪性
◇悪くないもの⇒転移しないもの⇒良性
ここで大切なのは、良性だからといって、けして体にとって良いものというわけではない、というところです。
良性の腫瘍は転移しないだけなので、その場所でどんどん大きくなっていくこともあります。
また、良性と悪性が混合しているというケースも多いです。
ミニチュアダックスの乳腺にしこりがあったら
まず、乳腺がどこにあるのか外側からでは分からないので、乳腺のしこりなのか、他の部分のしこりなのかも、すぐには解らないでしょう。
それでも愛犬の乳首の近くにしこりがあったら乳がんができている可能性を心配しなければなりません。
まず、しこりを見つけたら、他の乳首の周辺にもしこりがないのかを確認しましょう。
高齢になると、一度に複数個のしこりができていることもあるためです。
そして、小さなものでも早めに受診して獣医師に確認してもらいましょう。
乳腺のしこりの検査
しこりがあったからと言って、すぐに検査や治療になるとはかぎりません。
まず、診察を受けて、担当の獣医師の判断を聞きましょう。
以下に一般的な検査について説明していきます。
しこりを観察する
しこりの大きさや、かたち、色、硬さ、他にもしこりがあるかなどを確認します。
もし乳首から乳汁が出ている場合には、乳腺炎(にゅうせんえん)の可能性もあるので、乳汁の検査をすることもあります。
しこりの細胞をとる
しこりになっている所に、どんな細胞が増えているのかを確認するために、針をさして細胞をとってくる検査を行います。
細胞診(さいぼうしん)、FNA(エフエヌエー)FNB(エフエヌビー)と言われることが多いです。
しこりに針をさして、細胞を取り、どんな細胞が入っているのか、細菌が入っていないか、炎症細胞はいないのか、などを確認します。
これで、しこりの細胞がどんなものなのか、の予想を立てることができます。
だいたいの場合は麻酔などは必要なく、針を数回刺すだけなので、負担はそこまで大きくありません。
しかし、悪性か、良性かというような正確な判断はできません。
正確な判断のためには、次の病理検査(びょうりけんさ)が必要です。
しこりを手術で取って細胞を見る
しこりが何の細胞からできているか、その細胞は悪性なのか良性なのかを判断するためには、手術でそのしこりを取って、病理検査(びょうりけんさ)に出す必要があります。
この検査の良いところは、正確にその細胞の種類が解り、悪性か良性かの判断ができるところです。
しかし、全身麻酔が必要ですので、その点はやや動物の負担になります。
この検査で悪性であると解った場合には、もう一度手術で他の乳腺や近くのリンパ節を取る必要が出てきます。
乳腺のしこりの治療
乳腺のしこりが、良性なのか悪性なのかによって治療は異なります。
良性のしこりの治療
良性であれば、基本的には転移しない、つまり他の臓器に悪影響はないということなので、そのしこりさえ切り取ってしまえば治療は終了になります。
ただし、良性腫瘍でも取り残しがあれば再度、同じ場所にしこりが出てきてしまいますので、再手術になることもあります。
悪性のしこりの治療
悪性と判断された乳腺のしこりは、転移する可能性が高いので、しこりのあった乳腺だけでなく他の乳腺や、近くにあるリンパ節に転移していないか確認する必要があります。
しこりが出来た場所がどこなのかによって、手術で切り取る範囲が変わります。
基本的に、右の乳腺にできたしこりであれば、右側の乳腺を摘出(てきしゅつ)し、左の乳腺にできたしこりであれば左側の乳腺を摘出します。
さらにしこりが胸の方にできたのか、お腹の方にできたのかで、切り取る場所が違います。
<しこりの位置と、切り取る範囲>
◇胸の方にできたしこり⇒胸の乳腺を複数個取る
◇真ん中あたりにできたしこり⇒右側、あるいは左側の乳腺をすべて取る
◇お腹の方にできたしこり⇒お腹の乳腺を複数個取る
複数個のしこりが、左右にみつかった場合は、すべての乳腺を切り取るケースもあります。
この乳腺の全摘出は、かなり切り取る範囲が大きく、手術の負担が大きくなります。
一回の手術で、左右の乳腺を切り取るのは無理があることが多いので、片側をまず取って、時間をあけてから再度に手術で残りの側の乳腺を取ることが一般的です。
乳腺のしこりの予後(どうなるのか)
乳腺のしこりが、どんな細胞によるものなのかによって予後(今後にどうなるのか)は大きく違います。
悪性のしこりの予後
悪性の腫瘍であれば、転移する可能性があり、肺などにしこりができてしまうことが多いです。
しこりが転移した場所の機能は低下してくるので、それによって亡くなることが多いです。
悪性のものはどんどん大きくなるタイプもあり、大きくなったしこりが破れて、出血や液体が出ることがあります。
良性のしこりの予後
良性であれば、転移はしないため他の臓器に影響がでることはありません。
それでも、何もしなければ少しずつ大きくなってくることもあり、途中で悪性に変化することもあるので要注意です。
しこりであれば良性であっても手術で摘出してしまったほうが安心でしょう。
まとめ
ミニチュアダックスも高齢になれば乳腺にしこりができてしまうことが多いです。
しかし良性であるケースが多いので、すぐに悲観的になる必要はありません。
まずは、そのしこりがどんな細胞でできているのかを検査で調べましょう。
そしてできれば早めに手術でしこりを切り取ってしまう方が安心ですが、いろいろなケースがあるため、しっかりと担当の獣医師と相談して、何が愛犬にとって一番良いのか選択なのかを確認しましょう。
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