2016.12.24健康

犬の目から見えている世界は?犬の視力や色彩感覚、動体視力について

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 犬の視力や色彩感覚、動体視力

犬の鼻の機能が優れていることはよく知られていますが、犬の目にも人間との違いがあるといわれています。普段生活を共にしている愛犬たちは、一体どのような景色を見ているのでしょうか?今回は、犬の視力や色彩感覚、動体視力についてご紹介します。

 

犬の視力はどれくらい?

犬は目が悪い私たち人間にとって、犬の見ている世界は未知の領域です。犬と人間では目の見え方が大きく異なり、中でも犬は人とくらべて近視と言われることがあります

 

 

 

 

犬が見えている範囲

犬の視力は、人間でいうと0.3程度しか見えていないといわれています。これは、30cm~1m以内であればはっきりと見ることができますが、10mも離れてしまうと飼い主の顔もほとんど見分けがつかない程度の視力です。

犬は近視であることが多いのですが、もちろんすべての犬に当てはまる訳ではありません。犬種によって違いがあり、盲導犬や作業犬として働いている犬の近視率は低いともいわれています。ラブラドールレトリバー、ドーベルマン、シェパードのような、狩猟犬として遠くの獲物を追う必要がある犬種は、やや遠視気味であるといわれています。

犬とアイコンタクトを取るときは、顔が認識できる遠すぎない距離を保ってあげると良いでしょう。

 

暗がりの視界は?

犬は、網膜の裏に「タペタム層」と呼ばれる細胞層を持っています。これは人間にはない組織です。このタペタム層は、わずかな光を反射して視神経に届ける役割を持ちます。

カメラでいえば絞りと似た役目を果たし、絞りを開ければ開けるほど光を多く取り込んで、暗がりで物を見ることができます。犬はこのタペタム層のおかげで、暗闇の中でも人間の約5倍も見えているそうです。このため暗いところでも、犬は迷うことなくスタスタと歩くことができます。

なお、タペタム層はどの犬種にもあるわけではなく、シベリアンハスキーなど青い瞳の犬種は、タペタム層を持っていません。

これはなぜかというと、雪の多い地域では地面が光を反射するため明るく、暗闇から光を取り込む必要がなかったからだと考えられています。逆にタペタム層を持った犬種にとっては、日中の強い日差しや、真っ白に輝く雪原は明るすぎるといえます。

 

犬が見ている世界の色

犬が見ている世界以前は「犬には色が見えていない。モノクロの世界で生きている」といわれていましたが、近年それは違うということが分かってきています。

とはいえ、人間と同じようにはっきりと色が区別できている訳ではないようです。犬に見えている色は青、紫、黄色の3色とそれらの混合色で、そのため人が認識している色よりは単調な色彩であると考えられます。どうやら赤色は認識できていないようで、赤いボールで遊ぼうとしたら犬が反応できなくて戸惑ってしまった……というエピソードもあります。

 

優れた動体視力

犬は人間よりも動体視力に優れ、静止しているものよりも動いているものをとらえる方が得意とされています。牧羊犬や狩猟犬などは、その性質上特に動体視力に優れており、より遠くを見渡すことができます。ある実験によると、シェパードは動かないものなら550m、動くものなら825m離れた標的を見分けることができたそうです。

 

おわりに

ここまで、犬の視力や色彩感覚、動体視力についてご紹介してきました。

犬は近視の傾向があり、視力の悪さを嗅覚や聴覚で補っている部分も少なくないと考えられます。しかし犬は優れた動体視力を持つ他、きちんと飼い主の顔を認識しています。

最近の研究では、犬は飼い主が怒っているのか喜んでいるのか、表情から認識できるということも分かってきています。マスクやサングラスで顔の一部を隠すと、犬がいつもと違う反応を見せたという経験をされた方もいるのではないでしょうか。

犬と人間では見え方が違ったとしても、同じ世界を生きています。犬がどんなふうにこちらを見ているかを思うことが、ペットとの暮らしをより楽しむヒントといえるでしょう。

 

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松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。