2020.02.23動物病院 , 知識

動物病院に行く前に(連載1回目)

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こんにちは!松波動物病院メディカルセンター獣医師の松波登記臣です。今回は『動物病院に行く前に(連載1回目)』をお届けします。

なぜこのテーマで記事を書こうかと思った経緯をお話します。いつも診察しているとふと思うことがありました。「このワンちゃんネコちゃん、これまでにどんな病気になって、どんなお薬を飲んできたのかな?」と。特に初めましてのご家族とそのペットのときに気になりますし、むしろ知っておきたい内容だと思っています。当院でも、初めましてのときは“初診問診票”という紙媒体を用意させてもらっています。受付で「こちらにご記入くださいね」と言われる紙です。そこには、個人情報の他に、ペットの生年月日や種類、ワクチン接種の有無、手術歴や既往歴などの項目がありますが、全てぎっしり記入される方はいませんし、診察中に話をしていてもあまり覚えていないご家族の方は多いと感じています。

私たち獣医師は、お話が出来ないペットの診療をしています。言わずとしれたことではありますが、少しでも情報を欲しています。これまでの既往歴や投薬歴などを事前に知っていると、獣医師は全員喜びます、きっと笑。ですので、今回はこのテーマ『動物病院に行く前に』で記事を書いていこうかと思っています(不定期連載です笑)。

 

Pharmacist holding medicine box in pharmacy drugstore.

 

1.  動物病院で診断された病気やお薬について

今動物病院に通っているご家族のみなさん、正しい病名をちゃんと言えますでしょうか。私の感覚では3割くらいのご家族しか正確に病名を言えません。少し違っていたり、惜しかったり、あと全く違っていたり。。これは私たち獣医師にも責任があるかもしれませんが、調子が悪くなったとき獣医師ははっきりと病名は伝えているはずなのですけど、通院や持病などで定期的に診察していたりすると毎回お伝えできていなくなっているときもあります。また処方しているお薬も同様にです。「いつものお薬だしておきますね」で済ましてしまったり。決して悪いことではありませんが、毎回毎回、お薬の説明はちゃんとしておくべきですよね(自戒の意味でも)。動物病院によっては、最近はちゃんと処方箋や薬袋を準備してくれるところも増えてきましたが、処方する薬が一体何なのかわからない状態で処方されるところもあります。動物医療の現場では人医療とは違い、保険点数などは存在しませんので処方箋を出す出さないも動物病院によってまちまちなのか現状です。またお薬手帳なども存在しませんので(独自のものを作成している動物病院もある)、ご家族がしっかり把握しておくことが重要です。印字される処方箋などがある場合は決して捨てず保管しておきましょう。また病名も正確に獣医師から教えてもらったら手帳か何かに記録として残しておいてください。

 

2. 新しい動物病院に行くとき

引っ越しだったり、セカンドオピニオンだったりで、新しい動物病院に行くこともあるかと思います。先述しましたように、その新しい動物病院に行った際に書くことになる“初診問診票”に正しく既往歴や投薬歴を完璧に書けるご家族はほとんどいないと思います。かかりつけ医にはこれまでのカルテなどがあるので既往歴や投薬歴は確認できますが、初めてのところには何もありませんので、上記にも書きましたがこれまで通っていた動物病院からもらった処方箋や検査結果報告書などはしっかり保管して、新しい動物病院に行った際は一緒に持参されることをおすすめします。また最近は、“診療情報提供書”、つまり診断書などの発行もできるようになりました。特にセカンドオピニオンをされる際は、かかりつけ医から“診療情報提供書”を書いてもらうこともおすすめします。

 

今回は『動物病院に行く前に(連載1回目)』をお届けしました。動物病院から処方されるお薬や告げられる病名などはしっかり記録として残しておいてくださいね。次回の『動物病院に行く前に(連載2回目)』では、病気および症状について事前に調べるのは必要or不必要?について書いていきたいと思います。

 

松波動物病院メディカルセンター 獣医師 松波登記臣

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獣医師 松波登記臣

獣医師 松波登記臣

名古屋市にある松波動物病院メディカルセンター副院長の松波登記臣です。臨床獣医師として毎日診療および手術を担当しています。専門分野は、内分泌疾患(糖尿病、クッシング、甲状腺)や肝臓疾患で学位を取得しました。また近年では「痛みが少なく・傷が小さい」内視鏡手術に取り組んでおり、腹腔鏡を用いての避妊手術や各種生検、さらには胆嚢摘出、副腎摘出、肝葉切除などを行っています。