台風シーズン到来!気圧の変化が愛犬・愛猫に与える影響とは?
近年では台風シーズンが初夏から始まり、秋だけでなく随時発生しているような状態です。
台風は人間にとっては、大雨や強風、停電などへの備えが重要となりますが、愛するペットたちもまた、台風の影響を大きく受けていることをご存知でしょうか。
特に、気圧の急激な変化は、動物たちの心身に様々な影響を及ぼすことがわかっています。
今回は、台風による気圧の変化がペットに与える影響、そして飼い主さんができる具体的な対策についてお話ししたいと思います。
気圧の変化がペットの体に及ぼすメカニズム
「台風が近づくと、古傷が痛む」と話す方がいますが、これは気圧の変化が原因の一つとされています。
人間と同様に、動物たちも気圧の変化を敏感に感じ取っています。
気圧とは、空気の重さのこと。晴天の日は高気圧、雨や台風の日は低気圧となります。
気圧が下がると、私たちの体にかかる圧力が弱くなります。
これによって、体内の血圧や血管、関節や神経系に様々な影響が及ぶと考えられています。
動物たちは、人間よりもはるかに気圧の変化を敏感に察知する能力を持っています。
その理由の一つとして、彼らが持つ「気圧センサー」の存在が挙げられます。
これは、内耳や関節、自律神経系など、体の様々な場所に備わっており、気圧の変化を感知して脳に信号を送ることで、体のバランスを保とうとします。
しかし、急激な気圧の変化は、このバランスを乱し、様々な不調を引き起こすのです。
どんな持病のある子に影響が及びやすい?
すべてのペットが気圧の変化に影響を受けるわけではありませんが、特に以下のような持病を持つ子は、より注意が必要です。
関節疾患・整形外科疾患を持つ子
変形性関節症、椎間板ヘルニア、股関節形成不全など、関節や骨に問題を抱える子は、気圧の低下によって関節内の圧力が変化し、痛みが強くなることがあります。
台風が近づくにつれて、足を引きずったり、立ち上がるのを嫌がったり、散歩を嫌がったりする様子が見られたら注意が必要です。
心臓病・循環器疾患を持つ子
僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症など、心臓に持病がある子は、気圧の変化による自律神経の乱れが、心臓に負担をかけることがあります。
咳が増えたり、呼吸が速くなったり、ぐったりしたりするなどの症状が現れることがあります。
呼吸器疾患を持つ子
猫喘息や気管虚脱など、呼吸器に持病がある子は、気圧の低下によって呼吸が苦しくなることがあります。
呼吸が荒くなったり、ゼーゼーと音がしたりするなどの症状が見られたら、注意深く観察してください。
てんかん様発作を持つ子
気圧の変化は、てんかん発作の引き金になることが知られています。
てんかん発作の回数が増えたり、発作の症状が重くなったりする可能性があります。
精神的な不安を抱えやすい子
雷恐怖症や分離不安症を持つ子も、台風の接近による雷や強風、飼い主さんの不安な様子を感じ取り、ストレスを増大させることがあります。
落ち着きがなくなったり、震えたり、吠え続けたり、破壊行動をしたりするなどの行動の変化が見られます。
小型犬の子であれば大きな問題にはならないことが多いのですが、中型犬や大型犬では恐怖症によるパニックと破壊行動によってケージや柵、ドアが壊されて脱走してしまうことがあるので注意しましょう。
雷や風の音の恐怖症があるワンちゃんで、飼い主さんが帰宅したら部屋中がぐちゃぐちゃになっていた、というお話を聞いたことが何回かあります。
家での具体的な対処法
台風が近づいてくるという予報が出ていたら、飼い主さんとしてできることがあります。
無理をさせない
特に持病がある子は、いつもよりゆっくり過ごさせてあげましょう。
散歩の時間を短くしたり、激しい遊びは控えたりするなど、体の負担を軽減することが大切です。
落ち着ける環境を整える
雷や強風の音を怖がる子には、窓を閉めてカーテンを閉め、雷の光を遮断しましょう。
テレビやラジオをつけて音を紛らわせるのも効果的です。
また、ケージやクレート、ベッドなど、愛犬・愛猫が安心して落ち着ける場所を用意してあげましょう。
無理に抱っこしたり、励ましたりするのではなく、そっと寄り添い、安心感を与えてあげてください。
マッサージや温める
関節が痛む子には、優しくマッサージをしてあげたり、温かいタオルで関節周りを温めてあげるのも良いでしょう。
ただし、嫌がる場合は無理に行わないでください。
精神的なケアを考える
雷恐怖症や不安が強い子には、心を落ち着かせるためのサポートを検討するのも良い方法です。
例えば、犬用の雷対策グッズや、フェロモン製剤、あるいはジルケーンのようなサプリメントも選択肢の一つとなります。
ジルケーンは、ミルク由来の成分「α-カソゼピン」を主成分としたサプリメントです。
子犬や子猫が母乳を飲むときに感じる安心感をもたらす作用があると言われており、不安やストレスを軽減する効果が期待できます。
獣医師と相談しながら、愛犬・愛猫の性格や症状に合わせて取り入れてみるのも良いでしょう。
獣医師監修:ストレスケアに!不安に寄り添う安心サプリ「ジルケーン」
病院に連れていく目安
以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院に連絡し、指示を仰いでください。
・呼吸が速い、荒い、開口呼吸をしている
・ぐったりして元気がない
・食欲がない、水を飲まない
・足を引きずる、痛がって動かない
・けいれん発作が頻繁に起こる、または発作時間が長い
・意識がない、呼びかけに反応しない
これらの症状は、持病の悪化や、別の病気の兆候である可能性もあります。
特に、呼吸の異常は緊急性が高いことが多いため、迷わず動物病院に連絡しましょう。
飼い主さんの心の準備も大切
台風の時期は、人間も不安やストレスを感じやすいものです。飼い主さんの不安な気持ちは、ペットにも伝わってしまいます。
まずは、飼い主さんご自身が落ち着き、ペットが安心して過ごせるように努めることが大切です。
台風が接近する前に、ペットフードや水、常備薬などの備蓄を確認し、停電に備えて懐中電灯や予備バッテリーなども準備しておきましょう。
もし、緊急時に動物病院に連れていく必要がある場合に備え、最寄りの動物病院の休診日や夜間診療の有無についても確認しておくと安心です。
緊急避難の指示が出ることも想定して、利用する避難所にペットは同伴が可能なのかを先に調べておきましょう。
ペットの受け入れが難しい避難所であれば、安全な立地の動物病院に預けることも視野に入れておくと良いでしょう。
外出中に家が停電していたら
もし飼い主さんが外出中に、雷などの影響で停電してしまったら、エアコンのクーラーが止まって部屋が灼熱地獄になることがあります。
電源が回復してもクーラーは止まってしまうものが多いようです。
そうなるとペットは熱中症になる危険が高くなってしまいます。
可能であれば家に一度かえって状況を把握するのがベストです。
それが無理であったときのために、スマート家電などで遠隔でも稼働できるような工夫をしておきましょう。
まとめ
台風による気圧の変化は、ペットたちにとって、私たちが想像する以上に大きな負担となることがあります。
しかし、飼い主さんがその影響を理解し、適切な対策を講じることで、愛するペットたちが少しでも快適に、安心してこの時期を乗り越えることができます。
愛犬・愛猫の様子をよく観察し、いつもと違う様子が見られたら、かかりつけの獣医師に相談してください。些細なことでも構いません。早期に異変に気づき、対応することが、ペットの健康を守る第一歩となります。


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