秋は脱水の季節!犬猫の水分補給対策

秋になり気温が下がると、犬や猫の飲水量が減少し、特に猫で顕著な尿路疾患(膀胱炎、尿石症など)や、腎不全といった健康問題が悪化するリスクが高まります。
体内の水分が不足すると、尿が濃縮され、結石ができやすくなったり、腎臓への負担が増加したりするためです。
大切な家族である犬猫の健康を守るため、飼い主さんが積極的に水分補給を促すための対策をご紹介します。
必要な水分の量
適切な水分量を知るまず、愛犬・愛猫が1日にどれくらいの水分を必要としているかを知ることが、水分補給対策の第一歩です。
水分量の目安
犬や猫が1日に必要とする総水分量(フードに含まれる水分も含む)は、体重1kgあたり約40〜60mlが一般的な目安とされています。
【計算例】
体重5kgの犬の場合:5㎏×50ml~60ml=250ml~300ml
体重4㎏の猫の場合:4kg×40ml~60ml=160ml~240ml
ただし、この量はあくまで目安です。
年齢(子犬・子猫・シニア)、運動量、気温、そして 食事(ドライフードかウェットフードか) によって大きく変動します。
飲水量の正常値と多飲のサイン目安となる 「水として飲む量」 の正常範囲は、以下のように言われています。(食事中の水分を除く)
犬: 体重1kgあたり 40〜60ml/日
猫: 体重1kgあたり 20〜45ml/日
一方で、水分を多く摂りすぎている状態(多飲)も、病気のサインである場合があります。
多飲の目安
今までより多く水を飲んでいるな、と感じた時、これだけでも重要なサインです。
あるいは体重1kgあたり100ml/日 を超える飲水量が続く場合は、確実に多飲と言えますので腎臓病や糖尿病などの可能性もあるため、早めに獣医師に相談しましょう。
記録を付ける
水分量を把握する習慣健康管理のためにも、普段から愛犬・愛猫がどれくらいの水を飲んでいるかを把握する習慣をつけましょう。
・目盛りのついた給水器や、決まった量の水を入れられる容器を使う。
・朝に満タンにして、翌朝にどれだけ減ったかを量る。
特に飲水量の変化に気づきやすいように、日々の飲水量をカレンダーや手帳に記録しておくと安心です。
水分摂取の工夫
食事に関する工夫で水分摂取を促す食事は、最も効率よく水分を補給できる機会です。
ドライフードをメインにしている場合は、食事からの水分摂取量が少なくなりがちなので、意識的な工夫が必要です。
ウエットフードやスープを活用
ウェットフードやスープを活用するドライフードの水分含有量が約10%以下であるのに対し、ウェットフード(缶詰、パウチ)は 約75〜80% と非常に水分が豊富です。
切り替え・併用: ドライフードの一部をウェットフードに切り替える、またはウェットフードをトッピングとして混ぜることで、自然と水分摂取量が増加します。
風味をプラス: スープタイプのウェットフードや、ペット用のヤギミルク、無塩の鶏ガラやカツオの出汁(だし)を薄めてかけて与えるのも有効です。
※人間用の塩分や調味料は絶対に使わないでください。
温める工夫: 猫はぬるい水を好む傾向があり、フードも同様です。
ウェットフードや出汁を人肌程度(約35℃)に温めることで香りが立ち、食いつきが良くなり、水分補給に繋がります。
\ 水分補給補助としてのおやつに /
ふやかしごはん
ドライフードを「ふやかす」いつものドライフードを水またはぬるま湯でふやかすだけで、水分量を大幅に増やすことができます。
ぬるま湯でふやかす: ぬるま湯を使うとフードの香りが引き立ち、嗜好性が上がります。
シニア犬・猫にも最適: 歯や消化器官への負担も軽減されるため、食欲が落ちたシニアの子にもおすすめです。
注意点: ふやかしたフードは傷みやすいため、2〜3時間で食べきれない分は処分しましょう。
手作りフード
水分豊富な手作りごはんやおやつ愛犬・愛猫の健康状態を考慮しつつ、手作り食や水分量の多いおやつを取り入れる方法もあります。
茹でた鶏肉のささみや野菜など(与えて良い食材を確認)、水分含有量の多い食材を使って手作り食を作れば、「ごはん=水分補給」となります。
犬用ミルク(薄めに作る)、水分を多く含む野菜やフルーツ(スイカ、きゅうりなど)を少量与えるのも効果的です。
鶏肉の煮汁などを薄めて作ったアイスキューブを水の器に浮かべるのも、特に犬の興味を引くことがあります。
水が飲める環境
食器や設置場所、習慣の工夫犬猫が水を飲むモチベーションを高めるための環境整備は非常に重要です。
食器
食器(給水器)の工夫動物たちは、食器の素材や形、水の流れなどに強いこだわりを持つことがあります。
素材・形状を変える:プラスチック製の容器は、においや傷に雑菌が繁殖しやすいと嫌がる子がいます。
陶器製、ガラス製、ステンレス製など、さまざまな素材を試してみましょう。
特に猫は、ひげが器の縁に触れるのを嫌がるため、浅くて広い器を好むことが多いです。
水飲みファウンテン(自動給水器):猫は特に流れる新鮮な水を好む習性があるため、飲水ファウンテンを導入すると飲水量が増えることが期待できます。
犬も流れる水を好む場合があります。
飲みやすい高さ:特にシニア犬・猫や関節に問題を抱える子は、頭を下げすぎずに飲めるよう、スタンドなどで食器の高さを調節してあげると負担が減り、飲水しやすくなります。
設置場所の工夫
水飲み場を工夫することで、愛犬・愛猫に「水を飲もう」と思い立たせる機会を増やします。
複数箇所に設置する(マルチボウルシステム)しましょう。
特に猫は、食事場所の近くの水を嫌ったり(野生時代に獲物の血液などで水が汚れるのを避けていた名残)、単独の場所で水を飲むのを好んだりします。
リビング、寝床の近く、ケージ内、階段の上など、愛犬・愛猫がよく過ごす複数の場所に水飲み場を設置しましょう。
猫は床だけでなく、ステップの上など高さのある場所も好むことがあります。
人や他のペットの行き来が激しい騒々しい場所や、トイレの近くは避けるべきです。
静かで、愛犬・愛猫が安心できる場所に設置しましょう。
水は新鮮で清潔であることが最も重要です。
最低でも1日2〜3回は交換し、器のぬめりを取るために毎日洗い、清潔に保ちましょう。
冷たすぎる水よりも、常温の水の方が好まれることが多いです。
飲水の習慣化
積極的なアプローチ水分補給を日々のルーティンに組み込むことも大切です。
遊びや散歩(運動)の後に水を与える習慣をつけることで、積極的な水分摂取を促します。
水飲み場に誘導し、「お水だよ」などと声をかけることで、水を飲むことへの意識を高めることができます。
自己判断で水分不足を解消しようとせず、飲水量が異常に少ない場合は必ず動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
秋から冬にかけての飲水量の減少は、犬猫、特に猫の腎臓・尿路疾患にとって大きなリスクとなります。
適切な水分量を把握し、「食事からの補給」「環境の整備」「習慣の工夫」の3つの柱で、愛犬・愛猫の水分補給を積極的にサポートしていきましょう。
日々の小さな見守りが、愛する家族の健康長寿に繋がります。
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