ペットと暮らす家のための安全な大掃除と消臭のコツ

年末などに行う大掃除は、家の中を清潔に保ち、清々しい気持ちで新しい季節を迎えるために欠かせない行事ですが、ペットが一緒に暮らす環境では、掃除の「やり方」と「使うもの」に細心の注意を払う必要があります。
人間にとっては安全な洗剤や消臭剤も、小さな体を持つ犬や猫にとっては中毒や体調不良の原因となる可能性があるからです。
ペットの健康と安全を守りながら、徹底的に家をきれいにするための具体的な方法を解説します。
特に気をつけたいお掃除場所とそのリスク
大掃除の際、特にペットとの接触が多い場所や、有害物質が残りやすい場所に焦点を当てて掃除をすることが重要です。
床と足元
ペットが最も長い時間を過ごし、直接舐める可能性が高いのが床です。
フローリング、カーペット、ラグなどは、皮脂や抜け毛、排泄物の微細な飛沫、そして外部から持ち込まれた菌や花粉などが蓄積しています。
特に犬や猫は足の裏や被毛に付着した汚れを舐めてしまうため、床に使用する洗剤の残留は大きなリスクとなります。
掃除機をかける際は、家具の下や壁際など、ペットがよく隠れる場所のホコリも丁寧に除去しましょう。
トイレ周りと水飲み場
トイレ周りは、雑菌やアンモニア臭の発生源です。
猫砂やトイレシートを交換するだけでなく、トイレ本体や周辺の床、壁などを徹底的に清掃し、消毒することが衛生上不可欠です。
しかし、強力な塩素系漂白剤やアンモニア臭を消すための香りの強い消臭剤は、ペットが刺激臭を嗅ぐことで呼吸器系に負担をかけたり、舐めたりすることで中毒を引き起こす危険性があります。
水飲み容器やフードボウルも、毎日洗っているつもりでも、見えないヌメリや菌が残りがちです。
これらも熱湯消毒やペット専用の洗剤で丁寧に洗いましょう。
ペット用品と寝具
ベッド、毛布、おもちゃなどは、抜け毛やダニ、ノミの温床になりやすい場所です。
これらは熱湯または高温での洗濯、乾燥を徹底して行い、ダニやアレルゲンを除去します。
洗濯できない大型のベッドなどは、天日干しやスチームクリーナーの使用が効果的です。
特に猫が使うキャットタワーや爪とぎは、素材の奥に汚れが入り込んでいるため、掃除機で丁寧にホコリを吸い取り、可能であればウェットシートなどで拭き上げましょう。
窓・サッシと換気扇
窓やサッシの掃除に使用するガラスクリーナーや強力な油汚れ用洗剤は、人体に有害な成分が含まれていることが多く、使用後の換気と拭き取りを徹底しなければなりません。
掃除中はペットを別の部屋に隔離し、洗剤成分が残らないように何度も水拭きをして完全に除去することが大切です。
また、換気扇の掃除で油汚れを落とす際も、刺激の強い洗剤が飛散しないよう注意し、洗浄後は十分にすすぎましょう。
人用の洗剤で気をつけるべき成分と商品
大掃除で一般的に使用される洗剤や消臭剤には、ペットにとって有害な成分が含まれています。
塩素系漂白剤とカビ取り剤
次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系漂白剤やカビ取り剤は、強力な殺菌効果がありますが、非常に強い刺激臭を持ち、ペットの呼吸器にダメージを与えます。
また、万一舐めてしまうと食道や胃の粘膜を損傷し、重篤な中毒を引き起こします。
使用する際は、必ずペットを別の部屋に隔離し、使用後は水で何度も洗い流し、完全に乾燥させてからペットを戻しましょう。
酸性の洗剤と混ざると有毒な塩素ガスが発生するため、併用は絶対に避けてください。
アルコールを含む除菌スプレー
近年、広く使われているアルコール(エタノール)を主成分とする除菌スプレーも注意が必要です。
特に猫は、アルコールを体内で分解する酵素の働きが犬や人間よりも弱く、大量に体内に取り込むと中毒を起こす可能性があります。
スプレー後の拭き残しや、アルコールが完全に揮発しきっていないうちにペットが舐めてしまうことがないよう、使用には慎重になりましょう。
合成香料を含む芳香剤・消臭剤
合成香料を多く含むルームフレグランスや消臭剤、柔軟剤などは、ペット、特に嗅覚の鋭い猫にとって非常に強いストレスになります。
また、これらの香料に含まれる成分(特にアロマオイルの一部)は、猫が持つ肝臓の代謝経路(グルクロン酸抱合)が未熟なため、体外に排出されずに蓄積し、中毒を引き起こすリスクがあります。
大掃除で消臭を考える際は、無香料の重曹やクエン酸、ペットにも安全な次亜塩素酸水などを薄めて使う方法に切り替えることを強く推奨します。
環境の見直しと安全な掃除のコツ
大掃除は、ペットの健康を守るための環境を見直す絶好の機会です。
気になっているところや、改良すべき点はないかを確認してみましょう。
掃除中の安全確保
まず大掃除を行う際は、必ずペットを洗剤や掃除用具が一切ない安全な部屋(ケージやキャリーバッグでも可)に隔離しましょう。
これにより、誤飲や、刺激臭を吸い込むリスクを防げます。
また、洗剤の入ったバケツや雑巾などは、作業を中断する際もペットの届かない場所に移動させる習慣をつけましょう。
大がかりな清掃を行う時には、匂いや音がペットのストレスになりますので、ペットホテルに預けることもお勧めです。
洗剤の選択
ペットのいる家庭では、可能な限り「ペット用」と明記された洗剤や、成分が明確な天然由来の洗剤(重曹、クエン酸、セスキ炭酸ソーダなど)を使用するのが最も安全です。
これらは、使用後に万が一ペットが舐めても、中毒の心配が少なく、残留しても刺激性が低いため安心です。
ただしカーペットや布製品の掃除では、洗剤によって変色や触り心地の変化があるかもしれません。
使用前に少量でテストして、問題がないことを確認してから使用しましょう。
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掃除後の徹底的な換気と拭き取り
強力な洗剤やスプレーを使用した後は、必ず窓を開け、換気扇を回して部屋全体の換気を最低でも数十分行いましょう。
また、洗剤を使用した床や壁、窓枠などは、洗剤成分が残らないよう清潔な水で何度も水拭きします。
完全に拭き取るか乾燥させてからペットを部屋に戻すことが、事故を防ぐための最後の砦となります。
新品に買い替える時にも要注意
汚れを落とすのも限界があるため、汚れや破損がある時には新しいものを買うというケースもあるでしょう。
トイレやベット、毛布、食器、洋服、リードなどペットの日常的に使用するものを新調する方も多いのではないでしょうか。
この時に気をつけなくてはいけないのは、新しいものにペットが慣れてくれるかを確認する前に、今まで使っていたものを捨ててはいけないということです。
新しければ何でも良いということではなく、新品には新品の匂いや固さ、慣れないものへの緊張がペットにはあります。
そのため、古い方を捨ててしまったけれど、新しいものは使ってくれない、という困った事態が起きることがあります。
新しいものに慣れてきて問題ないことがわかってから、古いほうは処分するようにしましょう。
まとめ
ペットとの暮らしを快適に保つためには、一度の大掃除で完璧を目指すよりも、日頃から安全な洗剤でこまめに掃除をし、清潔な状態を維持することが最も重要です。
大掃除を機に、ペットの安全を最優先にした掃除習慣と用品選びを見直しましょう。
古いものはすぐに処分せず、念のために新しいものに慣れるまでは取っておくようにしましょう。
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