多頭飼育の秘訣:それぞれのストレスフリーな共存術
「もう一匹家族を迎えたいな」「先住犬(猫)に兄弟を作ってあげたい」と思われる飼い主さんは多くいます。
多頭飼育は、多くの飼い主さんにとって憧れであり、喜びも倍増する素晴らしい選択です。しかし、異なる個性を持つ動物たちが共に暮らすには、飼い主さんの深い理解と適切な配慮が不可欠です。
もし犬と猫という異なる種がストレスなく共存する場合は、それぞれの習性や行動学に基づいた工夫が求められます。
今回は、多頭飼育を成功させるための秘訣、特に犬と猫がストレスフリーに暮らすためのポイントについて詳しく解説します。
愛する家族たちが、みんなで幸せに暮らせるよう、ぜひ参考にしてください。
多頭飼育のメリットとデメリットを理解する
多頭飼育には、単独飼育にはない魅力がある一方で、注意すべき点もありますので事前にメリットとデメリットを確認しておきましょう。
メリット
社会性の向上:他の動物と触れ合うことで、社会性が育まれ、コミュニケーション能力が向上します。
運動不足・退屈の解消:お互いに遊び相手になることで、運動不足や退屈が解消され、精神的な満足感を得られます。
心の安定:飼い主が不在の間も、他の動物がいることで寂しさを感じにくくなり、心の安定に繋がります。
飼い主の喜び:複数の動物に囲まれることで、飼い主の癒しや喜びが増します。
デメリットと注意点
初期費用・維持費の増加:食費、医療費(ワクチン、予防薬、治療費など)、ペット用品など、経済的な負担が増えます。
世話の手間と時間:食事の準備、排泄物の処理、遊び、しつけなど、個々の動物に合わせた世話が必要となり、時間と手間が増えます。
相性の問題:動物同士の相性が合わないと、ストレスや喧嘩の原因となり、問題行動に発展することもあります。
病気のリスク:一匹が病気になると、他の動物に感染するリスクが高まります。
災害時の対応:避難時など、複数の動物を連れて移動する際の負担が増します。
これらのメリット・デメリットを十分に理解し、ご自身のライフスタイルや経済状況を考慮した上で、多頭飼育を検討することが大切です。
新しい家族を迎える前の準備と心構え
多頭飼育を始めるにあたり、最も重要なのは「新しい家族を迎える前の準備」です。
特に、先住動物への配慮が成功の鍵を握ります。
先住動物の性格と年齢を考慮する
性格:先住動物が人や他の動物に対して友好的か、神経質か、攻撃的かなど、性格をよく観察しましょう。穏やかな性格であれば受け入れやすい傾向にあります。
年齢:高齢の先住動物の場合、新しい動物の活発な行動がストレスになることがあります。子犬や子猫を迎える際は、先住動物の負担にならないよう、十分な配慮が必要です。
適切な組み合わせを選ぶ
猫と猫:仲良くなるかは相性によるため、無理に慣れさせようとしないようにしましょう。
犬と犬:だいたいは時間をかけて慣れていきます。中には噛んで大けがさせてしまったり、極まれに命を奪ってしまうようなケースも経験がありますので、相性には注意しましょう。
犬と猫:一般的に、子犬と子猫、あるいは子犬と成猫(猫が犬慣れしている場合)の組み合わせは比較的うまくいきやすいとされます。成犬と成猫の場合、犬が猫を追いかける習性があるため、犬のしつけができていて、猫が犬に対して慣れているかが重要です。
性別:同性同士の場合、特に未去勢・未避妊の場合は縄張り争いやマウンティング行動が見られることがあります。去勢・避妊手術を行うことで、問題行動のリスクを減らすことができます。
環境を整える
個別のスペースの確保:それぞれの動物が安心して過ごせる場所(ケージ、ベッド、隠れ家など)を用意しましょう。特に猫は、高い場所や隠れられる場所を好みます。
食事・水飲み場:食事や水飲み場は、それぞれが落ち着いて利用できるよう、複数箇所に設置したり、離れた場所に置いたりしましょう。特に猫は、食事は単独で食べなければストレスを感じやすいです。
トイレ:猫の場合、猫の数+1個のトイレを用意するのが理想的とされています。犬の場合も、それぞれの排泄スペースを確保しましょう。
遊び道具:それぞれの動物が好む遊び道具を用意し、共有するものは清潔に保ちましょう。
ストレスフリーな共存のための導入と慣らし方
新しい家族を迎えたら、焦らず、時間をかけてゆっくりと慣らしていくことが大切です。
最初は隔離から始める
新しい動物を家に迎えたら、まずはケージや別の部屋で隔離し、先住動物と直接接触させないようにします。
お互いの匂いを嗅がせる(タオルや毛布を交換する)ことから始め、存在を認識させます。
隔離期間中も、それぞれの動物に十分な愛情とケアを与え、不安を感じさせないようにしましょう。
徐々に顔合わせの時間を増やす
隔離期間を経て、お互いが落ち着いているようであれば、ケージ越しやリードをつけた状態で短時間だけ顔合わせをさせます。
最初は数分から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
顔合わせの際は、必ず飼い主が立ち会い、ポジティブな経験となるよう、おやつや褒め言葉を使って良い印象を与えましょう。
唸る、威嚇する、攻撃的になるなどのサインが見られたら、すぐに引き離し、無理強いはしないようにしましょう。
フェロモン剤やサプリメントの活用
犬や猫用のフェロモン剤(ディフューザーやスプレータイプ)は、動物の不安を和らげ、リラックスさせる効果が期待できます。
ジルケーンなどストレス軽減効果のあるサプリメントを獣医師に相談して活用するのも良いでしょう。
それぞれに愛情を注ぐ
新しい動物を迎えた後も、先住動物への愛情表現はこれまで以上に意識して行いましょう。
食事、遊び、スキンシップなど、それぞれの動物と個別に過ごす時間を大切にすることで、嫉妬やストレスを軽減できます。
日常生活での工夫と注意点
多頭飼育が軌道に乗ってからも、日々の生活の中でいくつかの工夫と注意が必要です。
食事の管理
それぞれの動物の年齢、体重、活動量に合わせたフードを与えましょう。
食事の時間は、それぞれが落ち着いて食べられるよう、別々の場所や時間に与えるのが理想的です。
特に猫は、犬のフードを食べてしまうと栄養バランスが崩れるため注意が必要です。
遊びと運動
それぞれの動物の運動量や遊びの好みに合わせて、個別に遊ぶ時間を設けましょう。
猫同士、犬同士であれば、力の差が無ければ力加減を覚えて遊べるようになります。
犬と猫が一緒に遊ぶ場合は、犬が猫を追いかけすぎないよう、リードでコントロールしたり、猫が逃げ込める場所を用意したりするなどの配慮が必要です。
健康管理と定期的な受診
多頭飼育では、一匹が病気になると他の動物に感染するリスクがあるため、ワクチン接種や寄生虫予防は徹底しましょう。
定期的な健康診断を受け、早期に病気を発見・治療することが大切です。
動物同士の喧嘩による怪我にも注意し、異常があればすぐに獣医師に相談しましょう。
困った時は専門家を頼る
どんなに注意していても、動物同士の相性が合わなかったり、問題行動が改善しなかったりすることもあります。そのような時は、一人で抱え込まず、必ず専門家を頼りましょう。
獣医師:健康面だけでなく、行動学的なアドバイスもできる獣医師もいます。
動物行動学の専門家:問題行動の原因を特定し、具体的な解決策を提案してくれます。
松波動物病院では、犬のキンダーガーテン(犬の幼稚園)やしつけ教室を実施しています。
キンダーガーテンは、年齢制限がないことから、多くの飼い主さまに幅広くご利用いただいています。
ワンちゃん同士で遊び合うことで友達も増えて楽しいですし、
獣医師のチェックを受けられるので、安心して預けていただけます。
まとめ

特に犬と猫という異なる種がストレスなく共存するためには、焦らず、時間をかけて慣らしていくこと、そしてそれぞれの動物が安心して過ごせる個別空間を確保することが重要です。
多くのケースでは、問題なく多頭飼育で生活しています。
ただし、どんどん動物の数が増えてしまうと、それは動物たちの負担になることも多いため、頭数は許容範囲をしっかりと考えて決めましょう。


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