猫のシャンプー、本当に必要?愛猫の被毛ケア
「猫にシャンプーって必要なの?」
猫を飼っている方なら、一度はそんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
多くの猫は自分で毛づくろい(グルーミング)をして体を清潔に保つのが得意です。
しかし、場合によっては私たち人間の助けが必要になることも。
この記事では、猫のシャンプーの必要性、適切なタイミング、そして特にケアが必要な病気の猫やシニア猫の被毛ケア方法まで、愛猫の健康と美しさを守るための情報をお届けします。
猫にシャンプーは必要?
まず結論からお伝えすると、健康な成猫のほとんどは、基本的にシャンプーが必須ではありません。
猫の舌には「乳頭」と呼ばれる無数の突起があり、これがブラシのような役割を果たして毛並みを整え、汚れや抜け毛を取り除いています。
彼らはこのセルフグルーミング能力によって、体を清潔に保ち、体温調節をし、皮膚の健康を維持しています。
しかし、「必要ではない」ことと「してはいけない」ことは違います。
以下のような特定の状況では、シャンプーや部分的な洗浄が愛猫の健康維持に役立ちます。
<シャンプーが必要になる3つの主なケース>
・自力でのグルーミングが困難なとき(高齢、病気、肥満)
シニア猫や関節に問題を抱える猫、または体が大きい猫は、体の隅々まで舌が届かず、汚れやフケが溜まりやすくなります。
・汚れが付着したとき
下痢などになっていたりすると足やお尻に便がつきやすくなります。
特に長毛種はお尻周りに排泄物が付着しやすいです。
・皮膚病やアレルギーの治療の一環
獣医師の指示により、薬用シャンプーを使った治療が必要な場合があります。
これは自宅でのケアというより、治療行為の一環です。
どのタイミングでシャンプーする?
「シャンプーが必要なケースはわかったけれど、具体的にどんなサインが出たら洗うべき?」
ここでは、飼い主さんが日常で見つけやすいチェックポイントをご紹介します。
シャンプーを考えるべきサイン
<毛割れやべたつきが出始めたとき>
毛並みがいつもよりパサついたり、部分的に束になって割れている(毛割れ)状態は、皮脂が過剰に分泌され、汚れが溜まり始めているサインかもしれません。
特に背中の付け根やお尻周り、顎の下などは要注意です。
猫は皮膚から皮脂を分泌して被毛にツヤを与えますが、これが過剰になるとベタつき、汚れを吸着しやすくなります。
<大量のフケが出始めたとき>
多少のフケは問題ありませんが、目に見えて大量のフケが出ている場合は、皮膚のターンオーバーの乱れや乾燥、または皮膚病の可能性があります。
過剰なフケはブラッシングだけでは除去しきれず、シャンプーで優しく洗い流すことで皮膚を清潔に保てる場合があります。ただし、フケが多い場合はシャンプーの前に獣医師に相談することをおすすめします。
<吐き戻しが被毛についたとき>
猫は消化不良などで吐き戻すことがあります。
その際、被毛に内容物が付着すると、そこから雑菌が繁殖したり、皮膚炎の原因になったりします。
吐き戻しや排泄物などが体の一部にこびりついた場合は、その部分だけでもすぐにぬるま湯で洗い流しましょう。
<換毛期(ブラッシングの補助として)>
春と秋の換毛期は、大量の毛が抜けます。
この抜け毛を放置すると、毛玉になったり、猫がグルーミングで大量に飲み込んでしまい、毛球症のリスクが高まります。
シャンプー自体が抜け毛を劇的に減らすわけではありませんが、シャンプーをすることで、被毛に絡みついていた大量の抜け毛を洗い流すことができます。
ブラッシングと組み合わせて、年に1〜2回の換毛期に実施を検討する飼い主さんもいます。
シャンプーの頻度
猫の皮膚は人間よりも薄くデリケートです。
頻繁なシャンプーは、必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚のバリア機能を低下させる恐れがあります。
特別な理由がない限り、シャンプーの頻度は年に1〜数回程度、あるいは汚れが目立つときのみで十分です。
長毛種や皮脂分泌が多い猫種(メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなど)は、短毛種よりも頻度が高くなることがあります。
シャンプーを上手に成功させるためのステップ
猫にとってシャンプーはストレスになりやすい行為です。
できるだけ短時間で、優しく済ませるためのポイントを押さえましょう。
準備が9割!環境を整える
爪を切る:暴れたときに飼い主が怪我をしないよう、事前に爪を切っておきましょう。
ブラッシング:シャンプーの前に、毛玉を徹底的に取り除きます。
毛玉があるとそこにお湯が浸透せず、シャンプー後の乾きも悪くなります。
シャンプーの準備:猫用シャンプー、タオル(吸水性の良いものを複数)、ドライヤー、体を固定できる台などを事前に手の届くところに準備します。
<猫ちゃんにお使いいただける当店取扱中のシャンプー>
場所の確保:お風呂場など、逃げ場が少ない場所を選びましょう。
洗い方のポイント
温度:体温に近い37〜38℃のぬるま湯に設定します。熱すぎるとやけどの原因になり、冷たすぎると体温が奪われます。
洗い方:顔は濡らさず、耳に水が入らないように注意します。体全体を濡らし、薄めたシャンプーを優しく揉み込むように洗います。ゴシゴシ洗う必要はありません。
すすぎ:最も大切な行程です。シャンプーの成分が皮膚に残らないように、時間をかけて丁寧に洗い流します。シャンプーの残りが皮膚炎の原因になることがあります。
仕上げの乾燥
シャンプー後の乾燥は、シャンプー以上に重要です。
猫は濡れた状態が続くと体温が奪われ、体調を崩しやすくなります。
タオルドライ:吸水性の良いタオルで水分を可能な限り拭き取ります。
ドライヤー:少し離したところから低温で風を当てます。音を怖がる猫も多いため、静音設計のドライヤーを選ぶのも手です。
温風を同じ場所に当て続けないよう注意し、皮膚まで完全に乾かしきりましょう。
病気の猫やシニア猫の被毛ケア
自力でのグルーミングが難しいシニア猫や、特定の病気を抱える猫、肥満の猫は、よりきめ細やかな被毛ケアが必要です。
しかし、体力も落ちているため、シャンプー自体が大きな負担になる可能性があります。
全身シャンプーを避ける
体力がない猫に全身シャンプーは危険が伴います。汚れが目立つお尻周りや背中の届きにくい部分だけを洗う「部分洗い」に留めましょう。
お湯に浸したタオルで拭き取るだけでも、一定の清潔は保てます。
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濡れタオルやホットタオルで拭き取る
全身の汚れやフケが気になる場合は、猫用のウェットシートや、温めたタオル(ホットタオル)を固く絞って体を優しく拭き取る方法がおすすめです。
特に寝たきりの猫は、排泄物で皮膚が荒れやすいので、汚れたらその都度拭き取り、清潔を保ってあげてください。
適切なブラッシング
シニア猫は特に毎日のブラッシングがお勧めです。
マッサージ効果:血行を促進し、リラックス効果も期待できます。
早期発見:ブラッシング中にしこりやできもの、傷などに気づくことができ、病気の早期発見につながります。
毛玉防止:グルーミング能力が落ちると毛玉ができやすくなるため、ブラッシングで予防します。
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まとめ
猫は基本的にはシャンプーを必要としない動物です。
それでも皮膚の状態や汚れなどによってシャンプーが必要になる機会もあるかもしれません。
猫にとって負担にならないように準備し、ストレスのかからないように注意しながらシャンプーしましょう。
全身シャンプーではなく部分シャンプーもストレスが少なくお勧めです。
持病のある猫や高齢の猫では、ふき取りやブラッシングでケアすることを主体とするようにしましょう。


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