2025.09.24健康

獣医師が考える「理想の食事」とは?手作り食とドライフードの賢い選び方

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愛するペットたちの健康を考えるとき、最も重要なテーマの一つが「食事」です。

毎日与えるごはんが、体の調子を整え、病気を予防し、QOL(生活の質)を高める土台となります。

しかし、ペットフード売り場に行けば、ドライフード、ウェットフード、手作り食、グレインフリー、ヒューマングレード…と、情報があふれかえり、「結局、何が一番いいの?」と迷ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。

 

今回はペットの「理想の食事」について、科学的な視点と現場での経験に基づいたアドバイスをお伝えします。

ペットの食事で最も大切なこと:栄養バランス

「理想の食事」と聞くと、多くの飼い主さんは「手作りで、最高級の食材を使ったもの」をイメージされるかもしれません。

もちろん、愛情を込めて手作りすることは素晴らしいことです。しかし、食事で最も大切なのは、  「総合栄養食」  であること

つまり、ペットが必要とする栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど)が、適切なバランスで、適切な量含まれているか、ということです。

 

栄養バランスを崩すと、病気の原因になります。

例えば、カルシウムが不足すれば骨が弱くなり、ビタミンAが不足すれば皮膚や目のトラブルにつながります。

人間の食事を参考に、犬や猫に同じものを与えると、これらの栄養バランスが偏ることが多いため注意が必要です。

ドライフードの賢い選び方:ラベルを読み解く力

市販されているペットフードは「一般食」と「総合栄養食」に分けられます。

「総合栄養食」は、それとお水だけで栄養バランスがしっかりと取れるようなフードです。

「一般食」はおやつ程度の栄養しかないので、間違ってたくさん与えないようにしましょう。

 

またペットフードの品質や原材料は千差万別です。

良いフードを選ぶために、まずはフードの袋に書かれた情報を読み解く力を身につけましょう。

「AAFCO(アフコ)」の基準を満たしているか?

AAFCO(Association of American Feed Control Officials)は、米国飼料検査官協会のことで、ペットフードの栄養基準や表示方法を定めています。

AAFCOの基準を満たしているフードは、ペットの健康を維持するために必要な栄養素がすべて含まれていると判断できます。

パッケージのどこかに「AAFCOの栄養基準を満たしています」という記載があるか確認しましょう。

原材料リストの読み方

原材料リストは、使用量が多い順に記載されています

例えば、「チキンミール、米、トウモロコシ…」と記載されている場合、チキンミールが最も多く含まれていることを意味します。

高品質なフードは、リストの最初に肉や魚などの動物性タンパク質源が記載されていることが多いです。

「グレインフリー」の真実

近年「グレインフリー」(穀物不使用)のフードが増えていますが、「穀物は体に悪い」というわけではありません。

一部の犬は穀物アレルギーを持つ子もいますが、全体のごく一部です。

ほとんどの犬は穀物を問題なく消化できます。

むしろ、穀物の代わりにジャガイモや豆類を多く使用している場合があり、これらも炭水化物源となります。 

 

猫は肉食傾向の強い動物ですので、炭水化物量は少なく設定されています。

 重要なのは「穀物が入っているかどうか」ではなく、「全体的な栄養バランスが取れているか」  です。

ライフステージに合わせた選択

子犬・子猫用、成犬・成猫用、シニア用、ダイエット用など、様々なライフステージや目的に合わせたフードがあります。

特に、成長期の子犬・子猫は、骨や筋肉を作るために成犬・成猫よりも多くのタンパク質やミネラルを必要とします。

逆に、シニア期の子は、代謝が落ち、消化機能も衰えるため、カロリーを抑えつつ、消化しやすいフードを選ぶ必要があります。

ライフステージに合ったフードを選ぶことは、健康維持の基本です。

手作り食のメリット・デメリット

「手作り食は安心」というイメージを持つ飼い主さんは多いでしょう。

確かに、食材を自分で選べるため、アレルギーを持つ子にとっては有効な手段となる場合があります。

しかし、手作り食には注意すべき点が数多くあります。

 

【メリット】

・食材を自分で選べるため、アレルギー源を避けることができる。

・食材の鮮度を確認できる。

・食欲がないときに、香りの良い食材で食いつきを促せる。

 

【デメリット】

・栄養バランスを保つのが非常に難しい

犬や猫は、人間とは異なる栄養要求量を持っています。

特にカルシウムとリンのバランスは、骨の形成に大きく関わるため、専門的な知識が必要です。

手作りのみの食事では、ミネラルやビタミンが不足し、骨が脆くなるなど深刻な健康問題につながる可能性があります。

 

・食材の下ごしらえや調理に手間がかかる

食中毒のリスクがある。特に、生肉を与える場合は、サルモネラ菌や大腸菌などの細菌に注意が必要です。

 

【獣医師からのアドバイス】

手作り食を検討されている場合は、専門の獣医師や栄養管理士に必ず相談してください。 

全てを手作りにするのではなく、総合栄養食のドライフードをベースに、トッピングとして少量の手作り食材を加えるといった方法が、栄養バランスを保ちつつ、手作り食のメリットも享受できる賢いやり方です。

理想の食事は「個別化」から始まる

ドライフードか手作り食か、どちらが優れているという単純な話ではありません。

本当に理想的な食事は、その子の「個性」に合わせたものです。

 

・年齢、体重、体格

成長期かシニア期か、小型犬か大型犬かによって、必要なカロリーや栄養素の量が異なります。

 

・活動量

毎日散歩をたくさんする活発な子と、家でほとんど寝ている子では、必要なエネルギー量が全く違います。

 

・健康状態、持病

腎臓病や心臓病、アレルギーなど、特定の病気を持つ子には、その病気に特化した療法食を与える必要があります。

自己判断で食事を変更せず、必ず獣医師に相談しましょう。

肥満を防ぐための食事管理

ペットの健康を脅かす最も身近な問題の一つが「肥満」です。

肥満は、糖尿病、関節炎、心臓病、呼吸器疾患など、様々な病気の原因となります。

 

・適切な量を与える

パッケージに記載されている給与量はあくまで目安です。その子の活動量や体格に合わせて調整する必要があります。

 

・定期的な体重測定

月に一度は体重を測り、健康状態のバロメーターにしましょう。

 

・おやつの見直し

おやつは一日の摂取カロリーの10〜20%以内に抑えるのが理想です。

おやつをあげる代わりに、おもちゃで遊んであげるなど、別の方法でコミュニケーションを取ることも大切です。


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製品を給与しているワンちゃんに与えることができるおやつもございます。

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ボディ・コンディション・スコア(BCS)とは

ご自身でペットの体型をチェックする指標として、「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」があります。

肋骨が浮き出て見えるほど痩せている、または肋骨に触れられないほど太っている場合は、食事を見直す必要があります。

BCSについては、インターネットで検索すると、写真付きで詳しく解説しているサイトがたくさんありますので、ぜひ参考にしてみてください。

最後に:困ったら獣医師に相談を

ペットの食事について、不安なことや疑問に思うことがあれば、いつでもかかりつけの獣医師に相談してください。

登記臣院長
登記臣院長
獣医師は、その子の年齢、体重、活動量、持病などを考慮し、最適なフードや給餌量をアドバイスしています。

「理想の食事」とは、愛犬・愛猫が毎日を健康で幸せに過ごせるための、飼い主さんからの最高の贈り物です。

その贈り物を、愛情と正しい知識をもって選んであげてください。

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松波動物メディカル通信販売部本店公式ブログ

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わたしたちは創立1974年以来、愛知県名古屋市内で動物病院ペットの健康管理をトータルサポートし続けています。当院は犬・猫をはじめとする小動物の診療を主体として、トリミング、しつけ教室、ペットホテル、通信販売など、さまざまなペットケアサービスをワンストップで展開しています。