愛犬・愛猫と人の命を守る!SFTS(重症熱性血小板減少症候群)から家族を護る通年ノミ・ダニ予防の重要性
あなたの愛するペットが、知らず知らずのうちに家族全員の命を脅かす病気を運んでくる可能性があることをご存知でしょうか。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニが媒介する致死率27%という深刻な感染症で、2024年現在、日本国内で1,000例を超える感染が報告されています。
この病気の恐ろしさは、ペットから人への感染が確認されていることです。
2017年から獣医療従事者の感染例が11例報告され、SFTS を発症したネコやイヌからの感染リスクが従来考えられていた以上に高いことが明らかになっています。
これまで以上に適切なノミ・ダニ予防が大切だということになります。
SFTSとは何か?
まだ耳慣れないSFTSという病気ですが、致死率も高く警戒しなければならない病気であることは間違いありません。
ただし、闇雲に怖がるのではなく、正しい知識をもって正しい対処をすることが最も重要です。
病気の概要と感染経路
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、SFTSウイルスによって引き起こされる新興感染症です。
主な感染経路は以下の通りです。
・マダニからの感染
フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニが主要な媒介者
マダニに刺されてから6~14日の潜伏期を経て発症
・感染動物からの感染
SFTS を発症したイヌやネコから人への直接感染
感染動物の唾液や体液に大量のウイルスが含まれる
咬傷や濃厚接触により感染リスクが高まる
・人から人への感染
患者の血液や体液との直接接触による感染
医療従事者や家族への感染例が報告されている
症状と予後
SFTSの症状は重篤で、以下のような経過をたどります。
《初期症状(発症~第7病日)》
- 高熱(38℃以上の持続的発熱)
- 全身倦怠感、頭痛
- 消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)
- 白血球・血小板の著明な減少
《重症化(第7病日頃)》
- 血球貪食症候群
- 急性脳症
- 消化管出血・出血傾向
- 菌血症(細菌・真菌感染)
- 急性腎障害
- 心機能障害
最も深刻なのは、日本における致死率が27%に達することです 。
特に高齢者では死亡率がさらに高くなり、死亡例の年齢中央値は80.5歳となっています。
実際に猫からSFTSに感染した獣医師が死亡したニュースや、感染者数に関する報道がされています。
▶ネコ治療した獣医師死亡 マダニが媒介する感染症の疑い 三重
▶マダニ媒介の感染症 SFTS患者数91人 同時期比で過去最多に
ペットの感染リスク
ペットの感染は特に深刻で、以下の特徴があります。
《ネコの場合》
- 重篤な症状を呈し、黄疸が特徴的
- 致死率60%と極めて高い
- 元気・食欲低下100%、発熱73%で発症
《イヌの場合》
- ネコより軽症だが致死率40%
- 発熱92%、CRP上昇100%
- 白血球・血小板減少はほぼ全例で認められる
感染したペットの体液には大量のウイルスが含まれ、日常のケアや接触で容易に人にも感染する可能性があります。
なぜダニの通年予防が必要なのか?
SFTSが日本でも広範囲に広がるようになり、ダニの駆虫、ダニ感染の予防が大切と言われるようになってきました。
なぜダニの通年予防が必要なのでしょうか?
マダニの活動実態
従来、マダニは春から秋にかけて活動すると考えられていましたが、現在の状況は大きく変わっています。
《年間を通じたリスク》
- 気温13℃以上でノミ・ダニが活動開始
- 暖房の効いた室内では冬季でも繁殖可能
- 地球温暖化により活動期間が延長
《季節別リスクの変化》
- 春(3・5月):活動開始期、油断しがちな時期
- 夏(6・8月):最も活発な時期、屋外活動の増加
- 秋(9・11月):第二のピーク、気候が良く外出機会増加
- 冬(12・2月):従来は安全とされたが、現在もリスク存在
現代の生活環境における変化
《住環境の変化》
- エアコンによる年間通じた快適な室温
- ペットの室内飼育の増加
- 都市部への野生動物の侵入
《ペットの行動パターン》
- キャンプや登山への同行増加
- ドッグランや公園利用の増加
- トリミングサロンの使用増加

マダニをペットに大量に感染させない、家庭内で増やさないということが大切なのです。
効果的なノミ・ダニ駆虫薬の選び方
ノミやダニの予防薬といわれる駆虫薬にはたくさんの種類があります。
どの薬が愛するペットを守れるのか、どのようなものが適しているのかを考えていきましょう。
推奨している駆虫薬
- スポットタイプ(滴下薬)
- 首の後ろに滴下する液体タイプ
- 代表的製品:フロントラインプラス
他にも飲み薬(チュアブル)タイプの経口薬もあります。
背中に薬液が垂らされると、気になってストレスになるケースでは飲み薬を選択しましょう。
■ 選択のポイント
《ペットの特性に応じた選択》
- 年齢:子犬・子猫は生後2ヶ月から使用可能な製品を選択
- 体重:正確な体重測定による適切な用量設定
- 健康状態:既往歴や体質を考慮した薬剤選択
《安全性の確認》
- 動物病院で処方される製品は薬効成分と薬用量が保証
- 市販品との効果・安全性の違いを確認
- 副作用発現時の対応体制
動物病院から処方されることで、効果的で安全な駆虫薬という保証が得られます。
またもし駆虫薬が体質に合わない時にも、適切な対処が可能という点もとても大切です。
通年予防のスケジュールと投与の注意点
予防の時期はお住まいの地域によって違いはあるものですが、室内飼育をする場合には以下のような目安でスケジュールを組みましょう。
予防スケジュール
基本的な投与パターン
- 毎月同じ日に定期投与
- カレンダーやアプリでの投与日管理
- 獣医師との定期的な健康チェック
季節別注意点
- 春季(3・5月):予防開始の重要な時期、確実な投与開始
- 夏季(6・8月):最重要期間、絶対に投与を欠かさない
- 秋季(9・11月):第二の重要期間、継続的な投与
- 冬季(12・2月):油断せず継続投与
ノミやダニ感染を防ぐために
予防薬の投与
- 経口薬:おやつと一緒に与える、食事に混ぜる
- 滴下薬:ペットが舐められない首の後ろに確実に投与
- 投与後の観察:副作用や異常反応の早期発見
\ 投薬補助食品 おくすりちょうだい 50g 、130g /
日々のルーティンの見直し
- 散歩後のボディチェック:マダニの付着確認
- ブラッシングの習慣化:ノミ・ダニの早期発見
- 生活環境の清掃:室内での繁殖防止
定期的な健康チェック
推奨される健康診断の頻度は以下の通りですが、個体差もあるためまずは担当医に確認するようにしましょう。
- 健康な成犬・成猫:年1・3回の定期健診
- 高齢ペット:年2・4回の定期健診
- 予防薬処方時の健康状態確認
<チェックポイント>
- 皮膚の状態:炎症、脱毛、異常な痒みの有無
- 全身状態:元気、食欲、体重変化
- 血液検査:肝機能、腎機能の確認
診察で見たダニ感染症例
①低山のハイキングに愛犬と一緒に出かけ、帰宅してみると、被毛にダニが何匹もくっついていた、という主訴で来院されました。
ブラッシングをして落としたということで、院内でダニは見つかりませんでしたが、ノミダニ駆虫薬を処方し、必ず予防薬は継続するように伝えました。
②2月の冬で寒い時期にも関わらず、雑木林を散歩コースにしていたら、愛犬の顔に、もしかしたらダニがついているようだ、とのことで来院されました。
そして飼い主さんの予想通りそれはマダニでした。
2月でもマダニの感染はあるのです。
まとめ:愛するペットと家族を守るために
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は致死率27%という深刻な感染症であり、ペットから人への感染リスクも確認されています。
このことからも適切なノミ・ダニ予防をすることがとても大切だという認識が強まってきています。
《重要なポイント》
- 通年予防の必要性:マダニは年間を通じて活動し、室内でも繁殖可能
- 確実な投与:獣医師処方の駆虫薬を毎月確実に投与
- 薬の選択:ペットの特性に合わせた薬剤選択
- 継続的なケア:獣医師との定期的な健康チェック
愛するペットの健康と家族の安全は、飼い主さんの適切な判断と行動にかかっています。
大切な命を守るためにノミ・ダニ駆虫薬の通年使用を強くお勧めします。
参考情報
・ 厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」
・ 国立感染症研究所「SFTS診療の手引き 2024年版」
・ 日本獣医師会「ペットのノミ・ダニ予防ガイドライン」
最新の情報については担当の獣医師に確認するようにしましょう。


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